 | 川渕さん・発表するの図-「化学気候モデルを用いた全球対流圏OHラジカルの年々・長期変動とその要因の推定」
全球OH濃度の変動要因について、特に気象学的要因に着目した研究。O3、H2O、UV、雷NOxとバイオマス燃焼の各変動の重ね併せで、OH変動が起きていることを確認。また、雲がUV(UV-B)の変動を通じてOHに与える影響を事例解析的に検証。モデル内の雲変動や雷NOxの変動がどの程度リアルなのかについては衛星データ等による検証が必要(課題)。
''ある教員から、雲・雷がモデル計算のみを使用しているという点で、結果の有効性に疑問がある旨の指摘があったが、これは、気候モデルを用いた気候の過去再現や予測にも共通していえる特徴であり、このようなことを言い出せば、気候モデルで計算した雲・降水計算は診る価値がないということになる(実際、ある意味そうなのかもしれないが・・・)。今回の再現計算は、モデル自体は解像度が粗いものの、海面水温にHadiSST、気象場に客観解析データを用いており、水蒸気・オゾンを介したOHへの影響はかなりの確度で信頼してよいはずである。たしかに、雲・雷については、雲サイズ〜グリッドサイズごと地域ごとに正しい応答が再現できているとは言い難いが、半球〜全球(あるいは熱帯域平均)としての応答は、ある程度リアルなものが出ているはずである。加えて、今回対象としたOHラジカルは観測からの推定が難しい物質であるので、もっぱらモデル計算によるところが大であり、このモデル計算において、どのような要因でOHが決定・変動し「得るか」ということを理解しておくことは、今後のメタン等を始めとする重要物質の予測を行ううえで重要である。" |